ドクドクドクドク‥
聞こえる?
私の全身の心臓、こんなに働いてる。
全身がコイツの言葉に
反応して、
全身でコイツのことが
好きだって叫んでる。
それは、手で押さえていた口から溢れ出て……
「私、私っ‥」
「わーっ!待て待て待て待て待て」
「むぐっ」
溢れ出そうとした言葉を、コイツのデカい手で寸止めされた。
「待てっ焦るな。そーいうのは、男からさせろ」
私がコクコクと頷くと、そのデカい手は、今度は自分の顔を覆った。
「あー‥」
唸りながらコンクリートに寝そべるコイツの、この間まで。
私のドクドクを加速させる要因になるんだ。
「あのな、」
手を置いていた腹筋にグッと力が入り、いきなりまた顔が近くなった。
ドクンッ
心臓‥壊れちゃいそうだよ。
「俺‥、あいるのこと、好きだっ」
耳まで真っ赤。
はにかんだように笑うそんな顔、見たことなくて。
なんだかお腹がキュッと苦しく締まったから、涙が零れた。
「お、おい。泣くとこじゃねえだろ」
「だって、だって‥」
私は、ぐしぐしと流れ出るそれを拭って、真っ直ぐにコイツを見た。
そしてーー‥
「私も。大好きだよっ、優太♪」
「あ。お前、俺の名前知ってたんだ」
「アンタこそ」
ドクドクと心臓は変わらず働き者だけど。
なんだか、ほんわかとあったかい。
「ん」
あ……
今、解った。
こうやって、空を向けて差し出された手。
「うんっ」
いつも、私の手を待ってたんだね。
「わ、‥んっ」
繋がった手を引かれて
初めて触れた唇。
ちょっと、しょっぱかった。
おでことおでこをゴツンと合わせて
鼻と鼻が触れる近さで
瞳と瞳が真っ直ぐで。
「初勝利、おめでとうっ」
って、笑ったんだ。

