「お前、どっから聞いてたんだ?」
「え‥わっちょ、」
身体を離したコイツは、私の足をすくって持ち上げ、自分を跨がせるようにして座らせた。
コイツの上に膝立ちになった私は、その近い顔の所為で更に心臓を早く鳴らす。
「言え」
「ん‥と」
きっとね?
立ったままだと、私が直角に首を上げなきゃならないから。
同じ高さになった真っ直ぐな瞳は、とても真剣だった。
「好き?って聞かれて、好きだよって答えるとこ……」
私は、ズキドキしながら正直に答える。
「……」
「……」
「そこだけ?」
「‥うん」
「はぁー‥」
コイツは、ため息をつきながら両手を後ろに付き、のけぞった。
「お前タイミング悪すぎ」
「え‥」
「聞くならもっと前から聞くか、最後まで聞いとけよ」
「だって‥だって」
あんな場面、1秒だって居たくなかったし。
そんなこと言われたって‥ね?
「あれは、お前の話をしてたのっ」
「‥へ?だって、女の子‥泣いてた」
「あー‥あいつ、俺がヘタレ過ぎてお前が不憫だっつって笑い泣きしてたんだよ」
五分刈りの頭をガシガシと気まずそうに掻くコイツの顔が、だんだんと赤くなっていく。
「お前に‥その、まだ告白とかしてねぇし。だから‥」
コイツは、耳まで真っ赤にしながら話してくれた。
「手、繋いじゃダメなのかなとか。キス‥とか、その先とか」
「その先っ!?」
思わず叫んでしまった私。慌てて口を塞いだけど、遅い。
「いつか、な」
照れたように笑う顔を見て、私の全身が熱くなってく。
胸のドクンドクンが指先まで伝わって、触れてる部分からコイツに全部聞こえてしまうんじゃないかと思った。

