たぁ坊とるぅ *32page*




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「……あいる」

「え‥」



それは、私の本当の名前‥。

“あいる”

全ての未来に可能性を。
って意味で、I willから付けられたの。

まさか、覚えてたなんて……。



その時、



「わっ」



ふわっと身体が動いて、ギュッときつく抱き締められた。


私の顔は、コイツの逞しい胸にゴンってぶつかって、苦しかった。



胸に顔をうずめながら、トクンと鳴った心臓。

ほら。
身体中がコイツのことを好きだって言ってるよ。



でもーー‥今はただ、
それが苦しい‥っ






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「俺、死にそうだ」



低い声が私の頭に降ってきて、抱き締める腕が、強くなる。



「お前にだいっきらいとか言われたら、俺‥死ねるし」



……言ってる意味を、理解できなくて。



「お前、いろいろ勘違いしすぎ」



ズキンとドキンを交互に鳴らす、慌ただしい私の心臓。


でも、聞こえる‥。



私のおでこのところにある心臓も、私のと同じくらいに……