近づいてくるアイツの顔。
蘇るのは、あの時の光景。
だから私は、触れられる前に口を開いた。
「なんでそういうことするのっ!?」
もう、どうにでもなってしまえ。
溢れ出した涙も、想いも、言葉も、もう‥止められない。
「そういうことするからっ!だから‥っ」
だから勘違いしちゃうんだよ。
ヒラヒラと揺れるスカートをグッと両手で握りしめ、私は更に言葉を繋げる。
「他に好きな子が居るなら、勘違いさせるようなことしないでっ!」
勘違いさせるような言葉、言わないでよ。
「アンタはそんな気なかったかもしれないけど、私は付き合ってたつもりだった!!」
苦しい‥っ
苦しくて苦しくて、胸がぐちゃぐちゃになってしまいそうで。
「今考えれば、お互いに告白とかしてないし。好きだなんて言われたこともないしっ」
想いが溢れて、声が震えて。
「私ひとり勘違いして‥っ、ばっかみたい」
ぶつける怒りはやがて、だんだんと虚しさへと変わっていく。
「……らい」
それは、言ってしまえば一瞬にして終わってしまう、破滅の言葉。
「アンタなんかっ、だいっきらい!!」

