たぁ坊とるぅ *32page*




近づいてくるアイツの顔。

蘇るのは、あの時の光景。


だから私は、触れられる前に口を開いた。




「なんでそういうことするのっ!?」




もう、どうにでもなってしまえ。

溢れ出した涙も、想いも、言葉も、もう‥止められない。




「そういうことするからっ!だから‥っ」




だから勘違いしちゃうんだよ。


ヒラヒラと揺れるスカートをグッと両手で握りしめ、私は更に言葉を繋げる。




「他に好きな子が居るなら、勘違いさせるようなことしないでっ!」




勘違いさせるような言葉、言わないでよ。




「アンタはそんな気なかったかもしれないけど、私は付き合ってたつもりだった!!」




苦しい‥っ

苦しくて苦しくて、胸がぐちゃぐちゃになってしまいそうで。




「今考えれば、お互いに告白とかしてないし。好きだなんて言われたこともないしっ」




想いが溢れて、声が震えて。




「私ひとり勘違いして‥っ、ばっかみたい」





ぶつける怒りはやがて、だんだんと虚しさへと変わっていく。




「……らい」




それは、言ってしまえば一瞬にして終わってしまう、破滅の言葉。




「アンタなんかっ、だいっきらい!!」