キーンコーンカーンコーン‥
ついに2限目の終業を告げるチャイムが鳴り、移動しなきゃならない。
「やっぱヤダ!」
「ダメ」
「やぁあぁだぁああ」
「やだじゃないっ」
「会いたくないのー」
「会わなきゃわかんないでしょ?」
ランちゃんの長い脚の所為で、スタスタ早く着いてしまう選択授業の教室。
その道のりで、私は必死に抵抗を試みる。
「やっぱ具合悪いっ」
「じゅーぶん元気」
「お腹痛いっ」
「気のせい」
「あ、教科書わすれた」
「私が持ってる♪」
ふふーん♪と鼻を鳴らしながら笑うランちゃんには、私じゃどうしても勝てない。
会いたくない。
会いたくないのにっ!!
神様はイジワルだよ。
好きだって気づいた途端に失恋じゃんか。
次に話すことなんか決まってる。
“お別れしよう”
でしょ?
そんなのっ
そんなの……
‥っ、聞きたくないよ。
もしかしたら、ほんとは付き合ってなんかなかったのかもしれない。
元はといえば、アイツが適当に返事しただけだし。
私の勝手な勘違い‥?
そっか。
そうだよね。
普通は告白っていうものをしてから、めでたく恋人同士になるわけで。
‥私たちにはそれがないもん。
また涙は膜を張って前を滲ませた。
それをこぼさないように、一生懸命まばたきをしないようにするけれど。
「おい」
その声にビクッとなった私は、こらえきれず、大粒をひとつ零してしまった。

