たぁ坊とるぅ *32page*




「教室まで見に行って、居なかったら帰ろう。うん、そうしよう」



けっこう大きな独り言を発した私は、小走りに玄関へ。


上履きに履き替えるのがめんどくさかったから、靴下のままで階段を上った。



私たち1年生は全部4階。学年が上がる毎に下がっていって、1階は先生たちだ。




「メールはなしっと」



しつこいくらいに携帯を確認するけど、出ることのないメールのマーク。



「なんだよ」



いつものイライラと、いつもはない、どこか寂しい感じが胸の中にあった。


アイツの教室は1番奥。
私は靴下のまま、足音もなく歩いてく。

だぁれも居ない廊下。
だぁれも居ない教室。



「やっぱり、居ないのかな‥」



するとーー‥





「‥っ、でも!!」





いきなり、泣いてるような、震えてるような、そんな女の子の声が聞こえたんだ。

ちょっとだけ足の回転を早くして、声がした教室まで行ってみる。


それは、1番奥の教室。



「たぁ坊っ」

「あぁ‥」



アイツの名前‥
アイツの声ーー‥

それに、泣いてる女の子。



私の心臓は何故か、クッと苦しく縮まった。