「お疲れー」
「お疲れーまた明日ねー」
「うーん」
仲間たちと歩いて、門の前でバイバイする。
「たぁ坊とよろしくー」
「“と”って何だよっ」
「あははははっ」
「じゃーねー」
部活終わりでも元気の良い、女の子たちの笑い声が遠くになり、私は門の壁にもたれた。
「……いない」
そう。
いつもなら先に待っているはずのアイツが、いない。
携帯を見てもメールはなし。
「どうしたんだろ」
まだ終わってないのかなって思って、体育館まで行ってみる。
でもーー‥
「いなーい」
だぁれも居なかった。
「なんだ、終わってんじゃん」
じゃ、どこに行ったんだろ。
私はまた、門の前で待つことにした。
「遅くなるなら、メールくれれば良いのに」
それとも、先に帰っちゃったかな?
私たちはクラスが違うから、会えるのは帰り道だけなの。
お昼はそれぞれ友達が居るし‥。
話すキッカケになった選択授業だって、頻繁にあるわけじゃない。
「遅いなぁ‥」
メールしようと何度も携帯を開けた。
でも、何て打てば良いの?
分からなくて、パカパカと開けては閉じてを繰り返してた。
空の橙は落ちかけて、フライング気味に月が出てる。
今日の月は、
綺麗なまんまる。
夕陽に染められてるのか、少し‥赤い気がする。

