美弥薇が、今日はなぜか理由もなしに休暇をとった。


ま、常に気まぐれなヤツだ。

それを考えれば不思議なことじゃない。



ただ、今日は無意味にケンカをしなくていいことが救いだった。


はっきり言って無駄に体力を使って、無駄に強くなっても仕方がない。



利点があるわけでもないしな。





「仁先輩!」


目の前で相変わらず目を輝かせているコイツは、相当幸せ者だと思う。



「今日の夜、花火やるんスよ」

「良かったな」

「はい!
翼先輩に会えるし、めちゃくちゃ楽しみっス」



そういや、コイツは稲妻とも面識があるんだったな。



所属が竜巻のくせに、稲妻と棘と関わりがあるとは得なヤツだ。

すぐに新しい情報が手に入る。





「あ、じゃあ、俺こっちなんで。
仁先輩、次休みできたら連絡ください」


普段通り、手を挙げて俺を振り返る。



「前を見て歩け」


このセリフも固定されているようなものか。

忠告してやったにも関わらず、アイツは転ぶヤツだ。



………に、しても。


利点、あったな。

飛竜、おまえとは互角にやり合えそうだぜ。





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