「イベント?」


芽咲から電話がかかってきたのは数分前。


翼先輩が花火をやるって言い出した、とかなんとか。




とりあえず、見慣れた棚からまだ見ていないDVDをあさる。


暗いところは苦手だけど、ホラー系は嫌いじゃない。




ほら、やっぱり夏には恐怖が1番でしょ?

涼しくなるし。



でも、こうやってのんびり選んでる余裕はないのかな。


翼先輩たちと合流するために、陸雷高校近くの河原に向かわなきゃいけないし。




俺の家からだと、割と遠かったりする。

だから、


「あ、翼先輩?
今からそっち向かいたいんスけど」


電話で互いの居場所をチェック。


白石の騒がしい声が邪魔だったことは言うまでもない。





結局手ぶらで店を出て駅に向かっていると、


「あ、」


意外にも知っている顔をみつけて嬉しくなる。





駆け寄ると、それに気づいたのか向こうも俺を見て意外そうな表情をした。



「珍しいっスね、こんなとこで会うなんて。
なんか用事っスか?」





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