「な〜翼、イバラに強いヤツいるらしいよ〜」


大量に買った花火、その他もろもろを持って目的地まで向かう途中。




「だから、なんだよ?」


太陽の話に耳を傾けてると、体力消耗するっつーかさ。



「いや〜、翼めっちゃ強いけど、その人どうなんだろうって思っただけ〜」

「別に俺には関係ねぇよ」


なんっかイライラすんだよな。




「チビ、太陽の相手してやれ」



電話でいち早く待ち合わせたチビは、俺たちの手伝いをしてくれてる。


最初は直感的に気に入らねぇって思ってたけど、長時間絡むなら太陽よりはマシだな。





「無理っスよ。
太陽の相手したら遊ぶ分の体力なくなっちゃうっス」


…だろうな。



「翼さ〜、なんで花火しようって言い出したの〜?」

おいおい、太陽そこスルーかよ。



「思い出づくりのためっスよね?」



話題いきなり変わってるし。



そうだな、理由か。

思い出づくり?


なんか、ちげーよな。




「やっぱ、即興じゃね?」


思い出づくりまで計算して、俺はわざわざ花火しねぇっつーの。



「それ照れ隠しっしょ〜」

「そっスよね。
翼先輩、思い出づくりしたいなら、そう言っていいんスよ」

「うっせぇな。
俺は単に花火がやりたかっただけだ!
即興だろ、そういうの」


誰が照れ隠しなんかするかよ。





「みんな遅いよー!」


言い合いながら河原に着くと、聞き慣れた声が俺らを呼んだ。





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