夏川さんの送別会から一週間。
私は、いつもと変わらないバイト生活をおくっていた。
そう、何も変わらない。
あの日キスをされ、これからどんな顔をして仕事をすればいいのか悩みに悩んだのだが、平畠さんは今までと何も変わらない応対なのだ。
仕事中は仕事に集中。
失敗すれば怒鳴られる。
意識していたのは私だけなのか?
ただのお酒の勢い?
そして、あの綺麗な女の人は誰なのか?
ますます平畠さんの真意が分からなくなっていた。

「あれは何だったのよー!」

誰もいない公園のベンチで思いっきり叫んでみる。
こんな事で気持ちが晴れる訳もなかった。
答えが返って来る訳もなく、物悲しい気持ちでいっぱいになる。

「...帰ろう。」

そう呟くと、私は公園を後にした。