「サイトウさんと一緒かあ。」

昨日の彩の言葉が蘇る。
でも、先入観だけで人を決め付けるのは良くない。
私は自分にそう言い聞かせてユニフォームに着替えると、入場ゲートへ向かった。

園内を歩いていると、向日葵が咲いていることに気が付いた。

「いつも、凄いスピードで歩く平畠さんについていってるから、全然知らなかった。」

そう呟いた自分にハッとする。

(何、平畠さんの事考えてるんだろ。)

私は頭を振って、仕事に集中させようとした。
ワザと大きく歩き出す。

(平畠さんって、どこの大学なのかな?)
(教授の手伝いって何するんだろ?)
(今日の飲み会は来ないのかな?)

考えない様にすればする程、平畠さんの事を考えてしまう。

「あー、もう!変な感じ!いつもの怒鳴り声が無いから、いけないのよ!」

私は訳の分からない大きな独り言を言うと、ゲートに向かって走り出した。