「へぇ、そんな事があったんだ。」

今日は、彩と二人そろってバイトが休みなので、近所のショッピングモールに買い物に来ていた。

「うん、何か自分が情けなくってさ。」

歩き疲れた私達は、コーヒーショップで休憩している所だ。
私は、先日のレストランでの出来事を彩に話していた。

「でも、平畠さん凄いね?仕事も出来るし、やっぱりカッコいいなぁ。」

彩は、テーブルに頬杖をついた。

「ウエイター姿、見たかったなぁ。」

私は、彩の言葉にウエイター姿の平畠さんを思い浮かべた。

確かにカッコ良かった。
仕事も完璧。
だから、あの時目がいってしまったのかもしれない。
私は、ミスの事を思い出したくなくて、今日彩に話すまであの時の事は余り考えないようにしていた。

「うん、似合ってたよ。」

また、自責の念に駆られたが平静を装って返事をした。

「しかも、お客さんだけじゃなくって、加奈子のフォローもしてくれたんでしょ?」

彩は、それには気付いていないのか、言葉を続けた。

「うん。色々と…。」

私は、スタッフルームでの平畠さんの言葉が頭をよぎって行く。