「高校入って直ぐに『俺が、お化け屋敷を面白くしてやる』ってマネージャーに直談判したんだよ。仕掛け考えて、企画書作って―。」

(『面白くしてやる』って、高校生のくせに凄い自信。平畠さんって、昔からこんな感じなんだ。)

私は、妙に納得してしまった。
それにしても、ホラーハウスの話をしている平畠さんはいきいきしている様に見える。

「ーで、今に至る。まぁ、お前はどんな陳腐な人形でも驚きそうだがな。」

図星で、私は反論出来なかった。

「図星か?」

考えている事が見透かされている様にズバズバ言い当てられる。
平畠さんは何も言わない私を見て、ニヤリと笑った。

「お前、本当に単純だな。」

平畠さんは、大きくため息をついた。
完全にバカにされている様だが、少し平畠さんの素の部分が見れた様な気がしてホッとした。

「バイトなのに提案しちゃうなんてスゴイですね。」

その言葉に平畠さんの目が鋭く光ったのが見えた。
軽い気持ちで言ったつもりだったが、気を抜き過ぎてどうやら聞いてはいけない事を言ってしまった様だ。「バイトなのに」という表現が気に食わなかったのだろうか?
二人の間に、重い沈黙が流れる。

「遊ぶ金欲しさにバイトする様なヤツと一緒にするな。」

静かに沈黙を破ると、ゆっくりとモニターに目線を移す。
それは暗に、平畠さんに「お前がバイトをするのは、遊ぶ金欲しさだろう?」と言われている様に聞こえる。

「私は!留学がしたいんです!その資金を貯める為にバイトを始めました!」

その言葉にカッとなった私は、そう言い終わって始めて大きな声を出している事に気が付いた。
平畠さんは、少し驚いている様な表情で私を見ている。

「...すみません...。」

私は、急に恥ずかしくなり小さくうつむいた。