何も言えず、 翔から目を反らした。 「…やっぱりか」 「…でも心配して、だよ?」 「それだけじゃないんじゃない?」 「え…」 「兄貴に何かされたんじゃない?」 〈チュッ〉――‥ 一瞬頭に浮かんだ、 キスシーンを払って 「な、何もされてないよっ」 と嘘をついた。 「そうか。そうならいいんだけど」 翔のその言葉に ほっと胸を撫で下ろした。 次お兄さんに会ったとき、 翔と付き合ってること言わなきゃな… その夜中、 あたしは喉が渇いて 台所へ向かった。