「…やっやめろよ! 何回言わせんだよ」 顔を真っ赤にした翔が ちょっとキレぎみに言う。 「はい、はい。わかったよ。 知佳ちゃん、じゃねー」 あたしに手を振ると お兄さんは部屋を後にした。 お兄さんが出ていった後、 部屋は妙な空気に包まれ、 沈黙が続いた。 「あのさ‥」 沈黙を破ったのは翔だった。 「……ん?」 「知佳は危なっかしいよ。 山で迷うは兄貴にその‥襲われるわ…」