その時…

ガサッ―‥と
近くの木が音を立てて揺れた。


「だ‥誰かいるの…?」

恐る恐る音のする方へ話しかけた。



「知佳?!そこにいるのかっ」

聞き覚えのある、優しい声。


「っっしょう?!」


あたしの声と共に翔が顔を出した。

そして
あたしの顔を見ると
歩み寄ってあたしを抱き締めた。



「…知佳が俺を呼ぶ声、聞こえたぞ。
 怪我してないか?」

あたしの声…
翔に‥届いてたんだ…


「うん」

「見つかってよかった。
 知佳のばか‥心配させやがって」

「ごめん‥」