「縄はまたつけるから。今のうちに腕動かしとけ」 私の動揺になんてお構いなく、何事もなかったように話し続けるリク。 もう暗いとか、道が分からないとか言っている場合じゃない。 走って逃げれば・・・・・・ 「はい。残念。走って逃げてもクマに喰われるだけです」 銀行強盗 兼 誘拐犯 兼 エスパーだ。 「あのさ、死にたくなかったら言うこと聞けよ」 鋭い視線。 粗がなく整ったその顔は、逆に冷酷な印象を引き立たせる。