「なんで、名乗ったの? 私に」
「コードネームのようなものだから、問題ない。『なんで』が多いな」
言いながら、リクは私の腕に巻かれた縄を外す。
「痛かった?」
リクが私の腕を持ち上げ、手首をぺろりと舐めた。
柔らかい舌が、私の手首を上下に這う。
ゆっくりと。
ぬるい体温と湿り気を伴って。
「えっ。な……」
状況が理解できない。
「血が出てる。少し」
擦り切れたんだな、
リクのその言葉とともに私の肌に吐息がかかる。
身体が硬直する。
色々な意味で。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…