誘拐 ―おまえに決めた―


「そんな露骨に硬直するなよ」

「してないし、リクがいい奴だなんて思ってない」

「そう?」

にやりリクが微笑む。



「しかしマイがここにいるなんてね」

「なんで? 木の根で濡れないかと思ったからだよ」

「まあ、そうなんだけど」

リクは頭をポリポリしながら、私のスカートのあたりをゴソゴソしている。



「やめっ! 何考えてるのー!!」

「い、いやそうじゃなくて」

あわあわしながら、リクが両手を振る。