「それがなんでクルマを殺すことに繋がる」
「まあ、待て。気が早いな、リクは。話が早く終わるということは、お前の命も早く終わるんだぞ。ゆっくり聞けよ」
犯罪者はよく現場に戻るという。
不安心理から来るものもあるが、大抵は自己顕示欲からくるものだ。
自分はこんなすごいことをやらかしたんだ、という。
どこかにその計画の素晴らしさを知らしめたいという一面がある。
この饒舌を見るに、今のトイチはきっとそんな気分なのだろう。
考えていると、またリクが私の掌に触れる。
<に・げ・る・ぞ>
逃げる? どうやって。
とりあえず、また私はリクの指に「わかった」とばかりに触れた。


