誘拐 ―おまえに決めた―


「水滴くん、無事にマイの足元の洗面器に戻れるかな」

リクは謎にワクワク話しだしている。


「無理。うまく顔エリアを突破しても、私のキャミに吸収されて消滅」

私は無遠慮に、リクの希望とワクワク感をぶち壊す。



「そんなあ。水滴くんに運命を掛けてたのに」

がっかりした子供のようにうな垂れる。

「え?」

「願掛けみたいなもの。うまく脱出できるかなって」



え・・・・・・、どういうこと?

運命って、リクの? 私の?



そんなことを考えていると悟られるのが嫌で、違う言葉が口をついた。


「ずいぶん確率低い願掛け。そんなの当てにならないし、私は信じない」