「あ。ごめん」

髪を直す手を止め、妙に慌てふためくリク。


なんか、わざとっぽい。


でもリクは全部が嘘っぽいから、どこからがわざととかよくわかんない。

彼は存在自体が、壮大な虚構。名前すら。


私も同じようなものだけど。




リクは「ごめん」と言ったまま動かない。

「ねえ。何してんの?」

「いやあ、この水どこまで伝っていくかなと思って」

読めない。完全に。



「はあ?」

「ずっとこの水滴が旅をして足まで行ったら面白い」


ここに来ての天然キャラ登場!?

恐ろしい男だよ、リク。