「な、今から描き直したら?」
「無理だよ、間に合わないよぉぉっ。」
「大丈夫だって」俺はそいつの肩に手を置いた。
「今オレが時間止めっから」

そいつは目をまん丸く開けた。
俺も、初めてなので得意気に周りを見た。
道を歩いていた人は、片方の足が地面に着く前に動きを止め、鉄橋を走っていた電車も、飛んでいた鳩も、そのままの形で止まっている。
俺は、時間を止めた。
「どうよ~?これなら描き直せるっしょ?」
俺は嬉しくて、ニタニタしてしまった。
男はまだ喋れないでいる。
「んじゃ、あんたが絵を描いてる間、オレやりたい事あるから。また来るわ。」