澤木さんの車−ディーノっていうらしい。愛好家の多いフェラーリなんだって−は、座席が革張りで、見た目よりずっと座り心地がよかった。
あまりにも目立つ車だから、家から少し離れた人気がない公園でおろして貰った。
ご近所の噂好きのおばさんの目に入ったら、きっとあたしは『テレビに出ちゃうようなフシダラな』『テイソウ観念のない』女の子にされちゃう!
「わざわざありがとうございました!」
あたしがお礼をいうと、澤木さんは優しく笑って、じゃあまたねと軽く左手をあげた。
ディーノは滑るように走り出す。攻撃的な色だけど、動きは実に滑らかだ。
でも。綺麗っちゃ綺麗だけど…やっぱり派手な車だ!
小市民の私には理解できないセンスだ。
遠ざかる車を見送りながら、あたしは、自分が最後まで名乗らなかったことを思い出した。
澤木さんの破壊的な美しい顔を思い浮かべ、ドキドキした。
「もう会えないよね…」
呟いた自分の言葉に、ものすごい後悔の念が押し寄せた。
いまさら過ぎてどうにも出来ないけど。
別れ際の『またね』がほんとになるといい。
私は家ヘと歩き出した。
あまりにも目立つ車だから、家から少し離れた人気がない公園でおろして貰った。
ご近所の噂好きのおばさんの目に入ったら、きっとあたしは『テレビに出ちゃうようなフシダラな』『テイソウ観念のない』女の子にされちゃう!
「わざわざありがとうございました!」
あたしがお礼をいうと、澤木さんは優しく笑って、じゃあまたねと軽く左手をあげた。
ディーノは滑るように走り出す。攻撃的な色だけど、動きは実に滑らかだ。
でも。綺麗っちゃ綺麗だけど…やっぱり派手な車だ!
小市民の私には理解できないセンスだ。
遠ざかる車を見送りながら、あたしは、自分が最後まで名乗らなかったことを思い出した。
澤木さんの破壊的な美しい顔を思い浮かべ、ドキドキした。
「もう会えないよね…」
呟いた自分の言葉に、ものすごい後悔の念が押し寄せた。
いまさら過ぎてどうにも出来ないけど。
別れ際の『またね』がほんとになるといい。
私は家ヘと歩き出した。
