参考書返すときに、謝ろう。 申し訳ない気持ちでいっぱいだった。 「あー…沢村くん」 私はさっきと同じように沢村くんの席の隣まで行った。 沢村くんは次の授業の準備をしてた。 「参考書ありがとう」 「うん」 「それと、名前さ…間違えてほんとごめん! ごめんなさい! すいません!」 ぺこぺこと頭を下げる。 怒ってないかな…。 私だったらちょっと怒っちゃうよ。 くす、と笑い声が聞こえた気がした。 顔を上げると、沢村くんが笑っていた。 笑顔だった。