ケメは片手でボールを拾い上げると、男の子に手渡した。
「はい、お兄ちゃんにこのボールを渡してね」
 男の子は頼りなさげな手つきで、走ってきた球児にそれを渡した。
 球児は、
「ありがとう」
 と笑顔で男の子に言い、またグラウンドへと走っていった。
 白球追いかけて。