白球追いかけて

 帰り道、ケメはなにかもの思いにふけっていた。それをヨシナがわかっているように気を遣い、見守るように眺めていた。三人とも、心の中でそれぞれなにかを考えていたので、気がつけば会話を忘れていたが、だからといって気まずくはなかった。
 道沿いの居酒屋やファーストフード店はにぎわっていて、ウィンドウから中でワイワイとやっている人たちが見える。そこを通り抜けると、静かな住宅街に行き着いた。
 まず最初にバイバイをしたのはヨシナ。道沿いのヨシナのマンションを過ぎてから、ケメを送っていた。
 二人になると、急に緊張してくる。