「お母さん、何?」
「優姫に………縁談のお話が来ているの。」



縁談…



「貴方、もう18歳でしょう?そろそろ将来のことを考えないとって言われてるの。」
「分かってるよ、お母さん。」



あたしは彩城家の跡取り娘なんだということ。



十分分かってる。



でもやっぱり、心が疼くのは……



…朔真のせいかな?





「ちゃんと受けるから。心配しないで。」



小さいころから分かってた。



あたしの将来なんて、選択の余地なんか残されていないんだってこと。



親同士が決めた相手と結婚して



子供を産んで



会社を今以上に大きくする。



それがあたしに望まれていることだって。




そんなことは嫌ってほど理解してる。