「あ、ありがと…」
「これくらいのことは執事として当然ですから。」



その言葉に不安を覚えた。



もしかすると、朔真が優しくしてくれるのは、あたしがお嬢様で、朔真が執事という立場にあるからなんじゃないか。と



執事の掟は、主人に忠誠を誓い、誠実に努め、お守りすること。



そして、主人に喜んでもらえるよう、行動すること。




もしかしたら朔真は、この掟に忠実に従っているだけなのではないか。と



そう考えてしまうあたしは、求めすぎてしまっているのだろうか…?



これ以上何かを望んではいけないのだろうか…?








「姫、話って何?」



あたしの部屋に入るなり、朔真はベッドに腰掛けて、あたしに聞いた。



あたしはその不安を隠すように、なるべく優しく笑った。