「姫、良かったの?」
「何が?」
「さっきの話よ。…なんか幸太郎君見てると、捨てられた仔犬みたいで可哀想になってくるんだよね〜」
それはあたしも同じだけど…
大体、あたしは剣道部の部員でも何でもないし
それに助けてもらうなら、幸太郎君の大好きな朔真を呼べばいいじゃないか!
剣道が出来るかどうかは知らないけど…
あいつならやってくれるんじゃない?
「あ〜ぁ…何か可哀想だよね。私が剣道出来れば助けてあげるんだけどな…」
そんな美咲の声を後ろに聞きながら、また目の前の勉強へと取り掛かった。
気にするな。
あんなこと、あたしには関係ない。
そもそもあたしは剣道部ではないし…
そうだ。
断ったからって気にすることないんだ。
勉強…勉強……

