俺はその格式と誇りを心に深く刷り込まれて育った。


 「……俺にも分からない…」

 「失礼します」

 扉の向こうから美紗緒の声。


 「美紗緒ちゃん??」

 神も俺と同じで美紗緒の居る扉を見つめる。


 「蓮さま!!」

 「入れ!」

 俺の一言で、美紗緒が入って来る。


 「ティータイムの食器をお下げに参りました」

 「そうか…下げてくれ」


 「はい」

 美紗緒は俺の横に来て、食器を持っていたトレイに乗せる。


 「おい…お前…今度は…俺も母親の見舞いに連れて行け!」

 「え、あ…」

 美紗緒は戸惑っていたが…俺は命令だと言い放つ。


 「わかりました…」


 「……もう少し言い方があるだろ?」


 神が俺を詰る。


 「うるさい!」


 俺は…キレ気味に返す…。俺はたぶん…自分は不器用な人間だと自覚していた。


 でもそう…カンタンに…スタイルは変えられない…。