しかし母は末期の肝臓癌…もって半年だと医者に宣告されていた。

 「…出来る限りの治療はすべて君の…お母さんにするつもりだ」

 旦那さまも母の病状を知っていた。



 見ず知らずの…私にそこまでしてもらう言われは如月家にない。


 「しかし…私はただのメイドで…」

 「そうだな…そこまでしてもらう言われは…ないな」

 旦那さまはコーヒーを飲みながら、私の顔を見た。


 「君は…私たちとは全く別の世界の人間だ…蓮だって君のことを蔑んでいる。
私は君に…人として…欠けている物を蓮に教えて欲しいと思っている」

 「何を??」


 「人の温かさだ」

 そんなこと言われても…私にはどうしていいのか!?分からない。



 旦那さまの言葉に戸惑うばかり…。