如月家の当主である…蓮さまのお父さんは蓮さまと違い紳士的で優しいおじさま。

 一旦、奥の部屋に下がった柚木さんが再び、私たちの飲み物をトレイにのせて出て来た。

 私はアイスコーヒー。

 旦那さまはホットコーヒー。

 「ありがとうございます」

 私は柚木さんに礼を言った。

 「いえ…」

 柚木さんは私に含み笑いを浮かべ、軽く頭を下げ、奥に下がる。


 「咲弥からの報告によると蓮は随分…君に悪いことしたみたいだな…蓮に代わって謝る」

 旦那さまはいきなり私に頭を下げた。

 「え、あ…別に…」

 「蓮は我侭で私も手を焼いている…咲弥も君の味方だ…蓮が何すれば…咲弥に報告してくれ」

 「はい…」

 「お母さんのことは心配しないでくれたまえ…」