白黒プリンスと囚われのメイドさま


 少しして、如月君と咲弥さんが来た。


 咲弥さんは後部座席のドアを静に開ける。


 如月君は何も言わず…私の隣に乗り込む。


 「……」


 素早く…咲弥さんは運転席に乗り込んだ。


 「咲弥…10分の遅刻だぞ」


 「申し訳ございません…蓮さま」


 「たくっ」

 如月君はたかが10分…遅れただけで咲弥さんを叱責。


 「oo動物園に行っておりました…申し訳ございません」


 不機嫌だった如月君の顔が急に柔らかい表情を見せる。


 「レンレン…ゲンキだったか?」


 「ゲンキに笹を食べておりました」

 「そうか~今月は七夕があるし笹の需要が増える…餌不足にはならないか…心配だな」


 「……」


 如月君…咲弥さんを鬼のように扱き使うのに…パンダにはとっても優しい…。


 
 パンダにそれだけの気遣い出来るなら…人にももう少し…優しくしてあげたら
いいのにと内心、思った。