俺は…邸宅に戻る。

 「……」

 夜…会社から戻った…父上を尋ねる。

 「……咲弥からすべて聞いているぞ…」

 「!!?」

 早っ!!?

 咲弥はマジで俺を徳川家の婿養子にするつもりだ…。

 「…お前はそれ程までに…美紗緒さんに惚れているのか?」

 惚れる…。

 父上にそう聞かれ、自然と頬が染まる。


 「…そうか…」

父上は考え込む。

 「……互いに駆け落ちだけは避けたい…」

 「……」

 おいおい!?

 咲弥のヤツ…父上に何か変なこと吹き込んだな…。

 「……私も…お前に継いで貰いたいが…お前と美紗緒さんの気持ちを考えて…
お前には後継者としての道を諦めて貰う」

 「父上…後継者には誰を据えるんだ?」

 「…今…私の片腕となってくれている神を据えるつもりだ…充が戻ってきたら…また
考える…如月家ことは気にするな…お前の好きなようにしろ」

 「……」