俺はこの屋敷には戻りたくなかった。

 この邸宅は俺にとって針の寧ろ。

 でも…蓮や理人には会いたかった。

 この俺に尋ね人がやって来た。

 警察だ。

 言っておくが俺は何も悪いことはしてない…。




 「10年前の…徹お坊ちゃまの溺死事件で…聞きたいことがあって…君が当時…
最初の発見者だよね」

 「そうだ…でも…10年前のことなんて俺は憶えてない…その当時の調書を
見れば、分かるだろ?」

 「……それはそうだけど…その後…ウチの刑事が同じ湖で溺死している…事故だって処理されたようだけど…不審な点が出てきてね~」

 そんなことは知らない…。

 俺はともかく…徹のことは忘れたかった…。


 「また…来るよ…何か思い出したら…此処に電話して」


 刑事の一人が俺に紙切れを渡す。

 ケータイ番号と名前が書かれていた。