「……」

 命令口調ではなかった。

 私を対等に蓮さまは見ていた。

 「……はい」


 「…そうか…ならいい…安心した…色々と勉強することが多いから…イヤになっていたかと心配した」


 「蓮さま!!?」


 「少し…夜風に当たろうか?」

 「え、あ…」


 広間のテラスに私を連れ出した。

 テラスの向こうにはバラ園と噴水が見える。

 夜の帳が降りて、半月がぼんやりと闇に浮かぶ。

 「……美紗緒」

 「何ですか?蓮さま」

 「……」

 蓮さまは私を抱き締める。

 そして、何も言わず唇を重ねる蓮さま。



 触れる唇は熱く…甘く…深い…。

 溶けるような感覚が体を襲ってゆく。