容態は急変して、美紗緒の母親の病室にはひっきりなしにナースが出入りしていた。


 「……お母さん!!!」


 初めて会う美紗緒の母親。



 美紗緒の母親は既に意識が混濁していた。

 「2日前から…少し…容態が急変しましたが…お母さまが娘には心配をかけさせたくないとおしゃりまして…」


 医師がそう美紗緒に説明した。

 「お母さん!!!!」

 美紗緒は涙を潤ませて絶叫した。


 「最善の処置は致します…」


 心音を見る機械の波形がどんどんと波を失くして行く。

 血圧も落ちてゆく。



 美紗緒の母親は死に誘われようとしていた。

 そんな…母親を美紗緒は必死に呼ぶ。



 「…私は旦那さまに連絡を致します…蓮さまは美紗緒さんのそばに付いてあげてください」


 そう言って…柚木は出てゆく。