「柚木さん??どうしました?」

 俺は肝心なことをまだ…美紗緒に伝えてなかった。

 「??蓮さま…まだ…何もおしゃっていないのですか?」

 「え、あ…お前の…母親の容態が急変した…」




 「えっ!!?」

 美紗緒は持っていた皿を床に落とした。

 落とされた皿は割れ、破片となって散った。

 「……あ…」

 美紗緒は戸惑い…言葉にならない声を洩らす。

 「……割れた皿は後でいい…お前は急いで…病院に行くんだ!!」
 
 俺は美紗緒の手をとる。

 あまりの突然のことで美紗緒は放心的になっていた。


 体からも力が抜けて、俺に引っ張られるように歩く。


 母一人子一人…美紗緒の気持ちが分からないわけでない。



 信じたくないんだ…。

 自分のたった一人の肉親を失くそうとしているのだから。