やっと朝の足が止まったのは、大学の中庭 今はだいたいの生徒が講義中ということもあって誰もいない静かな空間だった 「…ねぇ、朝?」 朝は私の手を放してぶっきらぼうに言った 「里菜、こっち座れ」 朝が座ったベンチに私は恐る恐る座ったけど なんか落ち着かなかった 「……お前さぁ、彼氏と何かあったか?」 「えっ?」 ゆっくり開いた朝の口からは予想外のやさしい口調の言葉だった