《里菜》
待ちに待った夏休みに突入した私は、今自宅からほど近い最寄り駅のホームに立ち、まだかまだかと、電車がくるのを待っていた
バイトを頑張ったおかげで、樹の元へ行く資金は思っていた以上に早く貯まったので、夏休みに入ったらすぐ東京まで行こうと、数日前からせっせと準備を進めていたんだ
そうして、今まさに地元を出発しようとしている所だ
手元には小さめのキャリーバック
それを見るたびに、とうとう樹の元に会いに行けるんだという実感が湧いて、胸が弾んでいた
『今から行くね』
手元の携帯電話から、メッセージを送る
昨日から樹も同じくソワソワしているらしく、珍しく「本当に1人で来られるか?」なんて、まるでお父さんみたいなこと言ってたっけな
それもなんだか新鮮で、早く、早く樹の元に飛んで行きたくなったんだ
ガタンゴトン。。。
待ちに待った電車が目の前にたどり着き、扉が開いた瞬間、たまらず車体に飛び乗った
今、君に会いに行きます


