あれは高校入学式の後
会場から教室に戻り、俺は指定された自分の席に座っていた
「坂本...いつき君?」
いきなり名前を呼ばれ横を見ると
髪の長い優しそうな女の子が席に座っていた
「そうだけど
何?」
「私隣の席の中川里菜っていうの
これからよろしくね」
人懐っこい笑顔が印象的で
素直にかわいいなと思った
「こちらこそよろしく
俺坂本樹ね」
「うん
坂本君ね!!
よかったぁ~
私高校入って
しっかりしゃべれるかなって心配だったんだ」
「そうなん?
そんな風には見えなかったけど」
「実は坂本君ボーってしてたから
話しかけるのすごく緊張したんだから」
「ボーってなんてしてねーよ
話しかけにくいなら他の奴に話しかければいいのに」
周りにはたくさん人がいるのに....
なんで俺?
「うーんとね
何となくね坂本君と仲良くなりたいと思ったの」
「えっ?」


