まんまるくんっ
まんまるくんっ
きーみはぼーくの友達でぇー

まんまるくんっ
まんまるくんっ
ぼーくはきーみの友達だぁー





夢を見ていた気がする。

ーー‥どっちが、夢?








ゆっさゆっさと、ぼくの身体が揺れる。

顔や頭を撫でられて、ちょっとくすぐったかった。



『坊や‥っ』



優しい声がぼくを呼ぶ。

だんだんと近くなってく。



「坊やっ」



ゆっくり、目を開けると‥



「あぁ‥っ坊やぁ」

「おかあ‥さん?」

「坊やっ私が分かるのね?あぁーー‥」



お母さんが、泣いてた。



「俺はっ俺のことは分かるかっ?」

「ぼくねー、そのふかふかがなくても‥飛べるんだよ」



声がうまく出てこない。



「あんたっあたしのことも分かるかい?」

「もふもふさんは‥さらにもふもふさんだね」



青い‥青い‥空。



「んっとに心配かけやがってこいつはよぉ」



真っ黒い目が、キラキラ光る。



「さ、早いとこ怪我を治しに行こうじゃないか」



もふもふした彼女の毛並み。目の周りだけへた~ってなってた。



「坊や、立てる?」



優しい優しいお母さんは、まだ泣いてた。



「泣か‥ないで」



ひっく、ひっくとみんなが音を出す。



「あのね‥、」

「なぁに?」

「ぼく、帰らなきゃ‥」

「お前‥っどこに帰るっつーんだよ」

「あっち‥」

「あっちってどこよ!?あんたの帰ってくるところは、ここでしょう?」



空は、高くて、青くて、届かない。



「待ってるんだ‥」



みんなの泣く声が、大きくなった気がするけど‥

なんだか、だんだん遠くなってく。



「坊やぁ‥っ」



ーー‥泣かないで。