『坊やぁ‥っ』



左の真っ白な光の向こうで、泣きながらぼくを呼ぶ声が‥強くなった。



「キミを、呼んでる」

「‥うん」

「泣いてる」

「うん‥」



とてもとても気になる。



「行っておいで」

「ほぇ?」

「キミの為に泣いてるから‥」



ぼくの、ため?



『おいっ起きろって』

『起きなさいよぉ‥あんたぁ』



ぼくのために泣いてるの?

泣かないで‥。



「行っておいで」

「でも、ぼくが行ったら‥まんまるくんは独りぼっち?」



まんまるくんは答えてくれなかった。

ただ優しい光をキラキラさせながら、笑ってた。



「まんまるくん、まだここにいる?」

「うん」

「じゃぁ、ちょっと待ってて?」

「え?」

「ぼく、あっちに行ってまた帰ってくるから」



トンっと足を強く蹴り出せば、また身体がぷかぷか浮いた。



「ねえっ」

「う?」

「帰ってくるの?」

「うん」

「ほんとにいいの?」

「うん。だって、独りぼっちは寂しいもん」



ふよふよと浮いてるぼくは、くるりと背を向けて、真っ白な光へと飛んでいく。



「ごめんね‥」

「なんで?」

「ありがとう」

「うんっ」



真っ白に飛び込んだぼくは、まぶしい光に包まれた。