「まんまるくんっまんまるくん‥っ」



ポロポロと落ちる水。



「泣かないで‥」



拭いても拭いてもまだ出てくる。



「無事だった‥」

「うん」

「食べられてなかった」

「うん」



まんまるくんは食べられてなかった。

だって、今ここでお話してるもん。



「ありがとう。キミの気持ち、嬉しかった。でも、伝えることができなくて‥」

「う゛~‥」

「泣かないで‥」



ひっく、ひっくとなりながらも、なんとか流れ落ちるそれを止めたぼく。



「ぼくね?ひっく、まんまるくんが、元気で良かった」

「ふふふ」

「うふ~。うふふ~」



2人で笑顔になった。
それはそれは良い笑顔。



「ねぇ、ところで‥」

「う?」

「きみは、どっちに行くの?」

「どっち?」

「白い光か、色とりどりの花畑か‥」

「うーんとねぇ」



右をみて、左をみて、もう1回右をみて決めた。



「ぼく、お花畑に行きたいっ」