まんまるくんが食べられていると知ったその夜から、もうどれくらい経ったかな?


たくさんの友達に聞いてみたけれど、なぜだかみんなまんまるくんを知らないんだ。



「まんまるくん?誰だいそりゃ。それよりあんた、少し寝た方が良いんじゃないかい?」


もふもふしてる彼女も。


「知らんなぁ。おぃ、じいさんっ!じいさんや」

「なんだい、ばあさん。そんな大声を出すんでないよ」

「まんまるくんって知ってるかね?」

「いんやー知らんのぅ」


背中にヒビが入ってる2人も。


下を見ている背の高い黄色い花や、水の中にいる足のない友達も、みんな揃って横に首を振る。



「なんでみんなまんまるくんを知らないんだ」


まんまるくんはまんまるくんなのに。

ずぅっとずぅっと高い高いところにいるのに。


「食べられてるのにーー‥っ」



‥っく、ひぃっく



「ふぇ‥っく、」



ぼく、ぼくーー‥



「ーーっ、うわぁぁあんっあぁぁっく‥うわぁぁぁーんっ、うわぁぁぁーっーーー‥っ」



きみのところにいきたいよ。


きみとお話がしたいよ。


だんだんと暗くなっていく夜が恐いよ。




風が冷たくさわさわとながれて、ふわふわした雲たちが動きまわる。


まんまるくんはとうとう、ぼくの爪くらいまで細く痩せてしまっていた。