雨はずっと、ずぅっと落ちていた。

見上げた広い広いそれの名前は、“空”っていうんだって。


その空は、ずっとずぅっと灰色。

またぼくがどっか行っちゃうからって、あの空が青くなるまで出かけちゃいけないんだ。

お母さんに言われたんだ。


「うー。いつ青になるのかなぁ」


ぼくは、ずぅっと上を見てる。

空って面白いね。


「薄い灰色、濃い灰色、黒ー」


最近はそれの繰り返し。

まんまるくんに出逢ったあの日、道が橙だったでしょ?

あれは、空のお洋服なんだって。

よそ行き用のおめかしなんだって。


「いーな。ぼくも早く、お出かけしたいなー」


すると、お母さんが


「明日にはお出かけ出来るんじゃないかしら」

「ほんとっ!?」

「えぇ、空はきっと青いわ」


ぼくはもう1度、空を見る。

真っ黒になったこの空が、青になるのか。

そうしたら、お出かけしても良いのか。


「うふふふふ」

「なぁに?」


優しく問いかけるお母さんに、ぼくはにんまりと笑って返す。


「青い空、楽しみだね♪」

「ふふ。もう寝なさい」


青い空になれば、お出かけ出来る。

そして紺色になったら、また会えるんだよね?



ねっ、まんまるくん♪