「おはよ、由菜ちゃん」
「…広季は?」
「あんたもう広季くんの彼女じゃないんだから名前で呼ぶな!」
池野はバシッと由菜の頬を叩き、由菜はよろけた。
「バカね、広季はもううちの虜なの今更あんたが行ったって見向きされないわよ」
池野は胸を張って言う。
何処からそんな自信が湧くんだか…。
「それはこっちの台詞
うちらは愛し合ってるから別れたの、分かる?
だからあんたは邪魔なんだよ!」
由菜は力一杯池野を殴った。
池野はそこに倒れた。
「由菜ッ!」
俺は耐え切れず由菜の所へ走った。
「くくっ…騙されやすいってよく言われるでしょ広季くん…」
「えっ」
鬘を取って初めてよく見えた顔。
「かっ和斗…!」
「ふっバカ!」
ガッと頭を殴られた。
「酷い…和斗……」
池野は頬を抑えながら言った。
「自分が可愛いとでも思ってんの?バカじゃねぇの?ハハッだからまぐれで受かった奴は嫌なんだ」
「なにそれ…!」
「柑乃、お前今回の定期テスト最下位だぜ」
「なっ…」
「この私立でも過去最低点だとさ」
「そんな………」
「最初は少し悪戯程度だったのにつけあがったお前はナイフなんて持っちゃって…
だからバカは嫌なんだ」
和斗は上から汚らしいモノを見るような目で池野を見ていた。

