鬼守の巫女


「……掴まっていろ!!」

そう言って魏戎は私を抱きあげると、そのまま凄い速さで出口へと向かって走る。

建物が軋み、次第に崩れる中……そっと空を見上げる。

するとその漆黒の闇に光る偽りの月にピキピキとひびが入り、そしてその次の瞬間、空から光が消えた。

辺りが真っ暗な闇に包まれる中、皆は凄い速さで駆けて行く。

皇楼の入口の大きな朱色の扉を抜けると、その扉はバタンと大きな音を立てて閉まる。

それと同時に扉の先から、何かが崩れる様な大きな音が聞こえた。

それを無視して長い廊下を走り抜けると、そのまま地下駐車場へと飛び出す。

そしてその駐車場を走り続けると……遠くに眩しい光が見えた。

「……急げ!!」

先頭を走る火伏さんのその叫びに、皆は微かに笑みを浮かべたまま走る。

そして……眩しい朝日の下へと飛び出した。